伊豆諸島はどの島がいいか|海・温泉・星空・登山・イルカ、目的別に選ぶ9島の分岐ガイド

高台の展望地に置かれた鉄製のベンチと、眼下に見下ろす集落と港

結論から言うと、伊豆諸島の9島は「何をしに行くか」より先に、「片道に何時間かけられるか」と「船が欠航しても旅程を組み直せるか」の2つで絞ると決まります。東京・竹芝から高速ジェット船で1時間45分の大島と、八丈島でヘリコプターに乗り継いでようやく着く青ヶ島とでは、同じ「東京の島」でも旅の組み立て方がまったく違うからです。この記事では、東海汽船・各村・各観光協会の公式情報をもとに、海・温泉・星空・登山・イルカ・秘境の目的別に9島を選び分けます。

まず結論|目的別・9島の早見表

「東京からの最短」は東海汽船の公式「航路・所要時間」にある最短値をそのまま、「島内の足」は東京都の「アイランドアクセス」の掲載内容を使っています。運賃は時期で変わるため、東海汽船の運賃表で出発月のものを見てください。

島 東京からの最短(目安) 向いている目的 島内の足 選ぶ前に知っておくこと
大島 ジェット船1時間45分/客船6時間/調布から飛行機 火山(三原山・裏砂漠)・椿・日帰り 路線バス・タクシー・レンタカー 9島で最も日帰りしやすい
利島 ジェット船2時間25分/客船7時間35分 イルカ(約20頭)・椿林・静けさ バス・タクシー・レンタカーとも無し 港が1つ。冬は長期欠航の場合あり
新島 ジェット船2時間20分/客船8時間30分/調布から飛行機 白砂の海岸・無料の露天温泉 無料巡回バス・レンタカー・レンタサイクル 羽伏浦はサーフィン向き。泳ぐ浜は別
式根島 ジェット船2時間20分/客船9時間 無料の海辺露天温泉3か所・遠浅の海 タクシー無し。レンタサイクル・レンタカー 徒歩と自転車で回れる小さな島
神津島 ジェット船3時間5分/客船9時間55分/調布から飛行機約45分 星空(星空保護区)・天上山・前浜 村営バス・タクシー・レンタカー 昼は海と山、夜は星の二部制
三宅島 客船6時間30分/調布から飛行機 火山の跡・野鳥・黒砂の海 村営バス(1日5本)・タクシー・レンタカー 雄山は通常立入禁止(ツアーのみ)
御蔵島 客船7時間25分(三宅島経由) イルカと泳ぐ・原生林 すべて無し(自転車も禁止) 日帰り不可。船が着いた日は59.1%
八丈島 飛行機約55分(1日3往復)/客船10時間20分 八丈富士・温泉6か所・島の食 町営バス・タクシー・レンタカー(9島で最多) 飛行機があるので旅程を崩しにくい
青ヶ島 八丈島からヘリ約20分/船は就航率50〜60% 二重カルデラ・地熱・秘境 レンタカー2社のみ 東京からの直行便なし。宿は少なく要予約
所要時間は東海汽船「航路・所要時間」の最短値(大型客船は夜行)に、八丈町・青ヶ島村・神津島観光協会の公式表記を加えたもの。島内の足は東京都「アイランドアクセス」による

最初の分岐は「時間」と「欠航への強さ」

伊豆諸島は北から大島・利島・新島・式根島・神津島の5島と、三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島の4島に分かれます。北の5島は高速ジェット船が通う、日帰りから1泊の圏内。南の4島は夜行の大型客船か飛行機で朝に着く圏内です。まずここで分けます。

①ジェット船で行ける北の5島|大島・利島・新島・式根島・神津島

竹芝を朝に出るジェット船で、大島は1時間45分、新島・式根島は2時間20分、利島は2時間25分、神津島は3時間5分(いずれも東海汽船の最短値)。日帰りが現実的なのは大島で、ほかの4島は1泊が基本です。大島・新島・神津島には調布飛行場からの小型機(新中央航空)もあります。欠航への強さでいうと、利島は港が1つしかなく、利島村は来島者向けの案内で、12月中旬から3月下旬は季節風が強く船便が3〜5日間欠航する場合があると書いています。冬の利島だけは、北の5島の中でも別枠で考えたほうが安全です。

②夜行客船か飛行機で朝に着く3島|三宅島・御蔵島・八丈島

竹芝を22時台に出る大型客船「橘丸」が、三宅島に6時間30分、御蔵島に7時間25分、八丈島に10時間20分(東海汽船の最短値)で着きます。船で寝て朝から島を歩けるので、1泊2日でも島で使える時間は2日分あるのがこの3島の利点です。八丈島だけは羽田から飛行機で約55分・1日3往復(八丈町)があり、9島の中で最も旅程を崩しにくい島です。逆に御蔵島は、観光協会が2013年から毎日公開している運航記録を本サイトで集計すると、船が着いた日は4,946日のうち59.1%でした。観光協会は「日帰りは出来ません」と明記しています。

③乗り継ぎが前提の島|青ヶ島

青ヶ島へは東京からの直行便がなく、八丈島からヘリコプター「東京愛らんどシャトル」(約20分・定員9名)か連絡船「くろしお丸」に乗り継ぎます。青ヶ島村は船の就航率を50〜60%、出航の決定を当日朝7時と案内しています。行けるかどうかが最後まで分からない前提で、帰りの予備日を持てる人の島です。

目的別に選ぶ|海・温泉・星空・登山・イルカ・秘境

海で泳ぎたい、シュノーケルをしたい

新島・式根島・神津島の3島が中心です。新島の羽伏浦海岸は白砂が約6.5km続く浜(東京都の観光公式サイト)ですが、新島村観光案内所は2026年の夏を原則遊泳禁止(サーフィン・ボディボードのみ)と案内していて、泳ぐなら前浜など別の浜です。式根島の泊海水浴場は野伏港から徒歩5分の遠浅の入り江で、子ども連れに向きます。神津島の前浜は約650mの白砂。赤崎は、木造の遊歩道の先に飛び込み台がある岩場の海です。大島の弘法浜、八丈島の底土海水浴場(島内唯一の人工砂浜)、三宅島の黒砂の大久保浜でも泳げますが、海がいちばんの目的なら新島・式根島・神津島を先に見てください。
→ 詳しくは伊豆諸島の絶景ビーチ・海水浴場まとめ

新島の港の桟橋と、透き通った青い海
新島の海。桟橋の先まで透き通った青が続く

温泉に入りたい

式根島が頭ひとつ抜けています。観光協会が「水着を持ってくれば24時間好きなときに入れる露天風呂が3カ所もあります。しかも無料」と書くとおり、地鉈温泉・足付温泉・松が下雅湯の3つの海辺の湯が無料です。新島の湯の浜露天温泉も無料・水着着用で、神殿風の建物が海に向いています。八丈島は観光協会が「6つの温泉が点在」と紹介し、裏見ヶ滝温泉と洞輪沢温泉は無料(裏見ヶ滝は水着着用)。大島の御神火温泉、三宅島のふるさとの湯、神津島温泉保養センターは有料の施設型です。利島と御蔵島には温泉がなく、青ヶ島にあるのは温泉ではなく地熱を使ったサウナです(村の公式サイトは台風の被害で当面休業と案内しています)。
→ 詳しくは伊豆諸島の温泉まとめ

式根島の海辺の露天温泉と入り江
式根島の海辺の露天温泉。岩に囲まれた湯船のすぐ先が海

星を見たい

神津島です。2020年12月、国際ダークスカイ協会の星空保護区に東京都で初めて認定されました(神津島観光協会)。神津島村は光害防止の条例をつくり、2021年3月に島の街灯をすべて光害対策用に改めました。観光協会の星空サイトは、港から歩いて回れる範囲に星空スポットがあると案内し、島の人が浜辺や神津沢にかかる橋の上から星を見てきたことを紹介しています。
→ 神津島で星を見る|ダークスカイの島の星空ガイド

山に登りたい、火山を歩きたい

選択肢は4つ。大島の三原山(標高758m)は火口を一周するお鉢めぐりと、国土地理院の地図で日本で唯一「砂漠」と書かれる裏砂漠があり、日帰りでも歩けます。八丈島の八丈富士(854m)は伊豆諸島の最高峰で、1,280段の階段を登ったあと火口を約1時間で一周します。神津島の天上山(572m)は港から登山口まで徒歩40分、山頂部に砂漠と池が広がります。利島の宮塚山(508m)は椿林の中を登る静かな山です。三宅島の雄山は通常は立入禁止で、観光協会主催の体験入山ツアーでのみ火口の100m手前まで入れます。御蔵島の森はガイド同行が原則です。
→ 三原山トレッキング/八丈富士 お鉢めぐり/天上山 登山ガイド/利島の椿と宮塚山

イルカと泳ぎたい

御蔵島と利島です。御蔵島はミナミハンドウイルカが100頭以上すむ島(東京都「アイランドアクセス」)で、ドルフィンスイムは宿を通して申し込み、「イルカに触らない。触ろうとしない」など観光協会の自主ルールがあります。ただし日帰り不可・宿の予約が上陸の条件・船が着く日は6割弱、と条件が重なる島です。利島は20頭前後のイルカが確認されていて(利島村)、村が案内する事業者は5軒。ジェット船で2時間25分と近く、御蔵島より軽く行けます。三宅島から漁船で御蔵島の近海へ渡るツアー(片道約1時間・三宅島観光協会)もあります。
→ 御蔵島でイルカと泳ぐ/利島の歩き方

御蔵島の海を泳ぐミナミハンドウイルカの群れ
御蔵島の海を群れで泳ぐミナミハンドウイルカ

野鳥と森

三宅島は国の天然記念物アカコッコが見られるバードアイランドで、伊豆諸島最大の淡水湖・大路池のまわりに周遊路があります。御蔵島はスダジイの原生林と巨樹の島です。ガイドなしで歩けるのは里から往復30分のタンテイロコースだけで、ほかのコースはガイド同行が必要です。観光協会がもう1つ挙げる黒崎高尾コースは、崩落のため立入禁止と告知されています。
→ 三宅島バードウォッチング入門/御蔵島の歩き方

人の少ない島、秘境感がほしい

青ヶ島は外輪山の内側にもう一つ内輪山(丸山)がある二重カルデラの島(東京都島しょ振興公社)で、カルデラの底には水蒸気が噴き出す「ひんぎゃ」があります。村の公式サイトは自らを「日本一人口の少ない村」と紹介しています。島内にバス・タクシーはなく、レンタカー2社だけです。御蔵島(観光協会の表現で人口は「300人少し」)と利島(交通機関なし・徒歩の島)も、船の着く日が限られる分、着いてしまえば静かです。
→ 青ヶ島への行き方と過ごし方

逆引き|こんな人はこの島

  • 初めての伊豆諸島・子ども連れ:大島(日帰り向き・路線バスあり)か式根島(遠浅の泊海水浴場・自転車で回れる)
  • 車がないと不安:八丈島(東京都「アイランドアクセス」に載るレンタカー会社が9島で最も多い)か大島(レンタカーと路線バスの両方がある)
  • 予定を崩せない:八丈島(飛行機1日3往復)か大島(ジェット船と客船の両方がある)。御蔵島・青ヶ島・冬の利島は避ける
  • 歩いて回りたい:式根島・利島・御蔵島(御蔵島は自転車も禁止)
  • 欠航も旅のうち、と割り切れる:御蔵島(船が着いた日59.1%)と青ヶ島(就航率50〜60%)。帰りの予備日を1日足す

2島を組み合わせるなら

隣り合う島は、東京へ戻らずに渡れます。新島と式根島は村営の連絡船「にしき」が1日3往復・大人片道430円(新島村)で、海と無料温泉を2島分まとめられます。三宅島と御蔵島は同じ橘丸の航路上にあり、野鳥とイルカを1回の旅で。八丈島と青ヶ島は八丈島を拠点にヘリで往復します。
→ 新島・式根島 2泊3日モデルコース/三宅島+御蔵島 周遊モデルコース

まとめ

迷ったら、まず「片道に何時間かけられるか」で北の5島か南の4島かを決め、次に「欠航しても組み直せるか」で御蔵島・青ヶ島・冬の利島を候補に残すかどうかを決めます。そのうえで、海なら新島・式根島・神津島、温泉なら式根島、星なら神津島、山なら大島・八丈島・神津島・利島、イルカなら御蔵島か利島、秘境なら青ヶ島。日帰り向きなのは大島、飛行機で旅程を守れるのは八丈島、というのが9島の骨格です。

参考・出典(公式サイト)

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※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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