神津島 天上山 登山ガイド|2コースの所要時間と、通行止めの迂回ルート

「天上山々頂」と刻まれた木の標柱。岩がごろごろした山頂部と、遠くに海が見える

神津島の中央にそびえる天上山は、標高572mの低山です。台形の山頂部に白い砂漠と池が広がり、「花の百名山」にも選ばれています。ただし2026年9月現在、この山を歩くうえで先に知っておかないと計画が崩れる事実が2つあります。ひとつは山頂部の登山道に通行止めが続いていること、もうひとつは登山口の6合目まで直行するバスが運休していることです。

この記事は、環境省と神津島村が連名で出した通行止めの告知、神津島観光協会の「天上山トレッキングガイド」、そして神津島村が公開している2026年9月の村営バス時刻表を突き合わせて、いまの天上山をどう歩くかに絞って整理したものです。

【2026年9月時点】山頂部の一部区間が通行止め。迂回路は公式が示している

2026年4月14日、環境省伊豆諸島管理官事務所と神津島村役場産業観光課が連名で「天上山線道路(歩道)の一部区間の通行止めについて」を出しました。理由はこう説明されています。

「富士箱根伊豆国立公園伊豆諸島地域の神津島の天上山山頂部付近において、神津沢が降雨等により浸食され、神津沢の上端部を通過する歩道区間が崩落する可能性が高まりました。これに伴い、下図の赤線の区間については当面の間通行止めといたします。通行止めの解除については改めてお知らせいたします。」

重要なのは、同じ告知に迂回路がはっきり書かれていることです。

「なお、白島10合目から最高標高点までは、ババア池方面から迂回可能です。」

添付の地図では、白島10合目から北へ回り込んでババア池側を通り、最高地点(三角点)へ戻る線が「迂回ルート」として引かれています。通行禁止区間は、最高地点のすぐ西側、神津沢の上端をかすめる短い区間です。地図には現場写真も添えられ、崩れかけた白い崖に「崩落の危険」と注記されています。

2026年9月2日に神津島村の「各課からのお知らせ」一覧を確認した時点では、解除の告知は出ていません(一覧の最新は9月1日付)。つまり通行止めは継続中と考えるのが安全です。区間の詳細や最新の状況は、出発前に神津島村役場(04992-8-0011)か観光協会に確認してください。

なお迂回先の「ババア池」は、観光協会のトレッキングガイドの地図にも山頂部北側の地点として載っている場所です。周遊そのものが不可能になったわけではなく、通り道が変わっていると理解してください。

コースは2つ。所要時間は公式が数字で出している

観光協会の「天上山トレッキングガイド」には、おすすめコースが2本、所要時間つきで載っています。

コース 起点・終点 所要時間(公式) 性格
山頂周遊コース 黒島登山口 → 白島登山口(おきんさわ) 約5時間00分(300分)※昼休憩を含め6時間を見込む 登山口から登り切る本コース
初心者コース 白島6合目 → 黒島登山口 約4時間00分(240分) 6合目まで車で上がって歩き出す

山頂周遊コースについて、ガイドは「所要時間:約5時間00分(300分)※お昼休憩も含め6時間くらい見ておきましょう。」と補足しています。行動時間は6時間で見積もるのが公式の想定です。

登山口の標高は地図に明記されていて、黒島登山口が190m、白島登山口(おきんさわ)が170m、白島6合目が363m。山頂部の最高地点が572mですから、黒島から登ると約380mを登ることになります。黒島登山道には「※海を背に約1時間の急な上り坂がつづきます。」と注記があり、白島登山口については「※ここからの登りは上級者コースです。」と書かれています。

つまり黒島から登って白島へ下りるのが基本の向きで、逆向き(白島から登る)は上級者向けという整理です。初心者コースが白島「6合目」発になっているのは、6合目までは別ルートで車で上がれるためです。

漁船の並ぶ港と白い砂浜、その背後に白く崩れた斜面を見せる緑の山
漁船が並ぶ港の向こうに立ち上がる山体。白く見えているのは崩れた斜面で、伊豆諸島の島はこうした削られやすい地層を抱えている

登山口までの足|「6合目行きバス」はいま動いていない

神津島村の交通機関ページには、村営バスの運賃として通常の「大人200円・小学生100円」と並んで、「白島登山口6合目行き(期間限定運行)大人500円・小学生300円」が載っています。これを見て「6合目までバスで上がれる」と考えると、計画が崩れます。

村が公開している村営バス時刻表を確認すると、「天上山6合目直行臨時便」の欄は「運休」とだけ書かれています。2026年7月18日〜8月31日の時刻表でも、2026年9月1日〜9月27日の時刻表でも、どちらも運休でした。夏の繁忙期を含めて動いていないということです。

では歩いて登る人はどうするか。定期の村営バスが、両方の登山口の入口に停まります。2026年9月1日〜9月27日の時刻表から、登山に使える便を抜き出すと次のとおりです。

ルート 神津島(前浜)港 発 黒島登山口入口 白島登山口入口 港 着
内回り1便 8:40 9:04 9:05 9:09
内回り2便 10:20 10:36 10:37 10:41
内回り3便 12:10 12:34 12:35 12:39
内回り4便 15:00 15:24 15:25 15:29
内回り5便 16:30 16:46 16:47 16:51
外回り1便 9:25 9:30 9:29 9:54
外回り2便 11:30 11:35 11:34 11:56
外回り3便 14:00 14:05 14:04 14:21
外回り4便 15:45 15:50 15:49 16:14

※2026年9月1日〜9月27日の村営バス時刻表(神津島村公式)より抜粋。運賃は大人200円・小学生100円。内回りと外回りでは登山口を通る順序が逆になります。

この表から、朝いちばんの内回り1便(港8:40発→黒島登山口入口9:04)で歩き出し、周遊コース6時間を見込んで白島側へ下り、白島登山口入口15:25または16:47の内回りで港へ戻るという組み立てが見えてきます。白島登山口入口から港までは4分です。

注意したいのは、バス停の名前が「黒島登山口入口」「白島登山口入口」であって、登山口そのものではないことです。観光協会のガイド地図には登山口までの距離を示す看板(白島登山口600m、黒島1.3kmなど)が描かれており、バス停からさらに歩く前提で時間を見てください。

バスを使わない場合、同じガイド地図には観光協会から登山口までの車ルート15分/徒歩ルート45分が示されています。ガイド本文も「各登山口へは徒歩、車、バスで行くことができます。」と3通りを挙げています。

高台の展望地に置かれた鉄製のベンチと、眼下に見下ろす集落と港
高台の展望地から見下ろす集落と港。登山口へは集落から歩いても車でも上がれる

山頂で何を見るのか|砂漠、池、そして入ってはいけない沢

観光協会が配布している冊子「天上山トレッキングガイド」は、山頂部をこう説明しています。「台形状に広がる頂上部では、低木帯や池、白地の砂漠など、日本とは思えない不思議な景色が見られます。東側の断崖の縁には、新東京百景に選定された展望地もあり、伊豆諸島の島々が眺望できます。」

コース上の主な地点は、公式地図に次のように並んでいます。

  • 表砂漠|「表砂漠と呼ばれる、天上山の中心に位置し砂地が広がる。」テーブルとベンチがあり、昼休憩の場所として案内されています
  • 裏砂漠|黒島側にあり、ガイドは「黒島側にある裏砂漠では静寂に驚く。」と書いています
  • 不動池(ハート池)|「中央には龍神様を祀る社がある不動池。」ここにもテーブル・ベンチがあります
  • 新東京百景展望地|「山頂部からは晴れた日は式根島から大島まで望める。房総半島まで見えるときも!」
  • 最高地点(三角点)|「山頂部にある40のピークの最高地点、標高572m。」
  • 千代池・オロシャの石塁・天空の丘・ババア池|いずれも公式コース地図上の地点名です

そして入ってはいけない場所があります。不入ガ沢(はいらないがさわ)です。ガイドの説明はこうです。「伊豆諸島の神々が集まり『水配り神話』の舞台とされる不入ガ沢。いまでも神域として立ち入りは禁止されている。」

コースは不入ガ沢のそばを通りますが、沢そのものには立ち入らないのが決まりです。眺めるだけにしてください。

もうひとつ、この山の景色が「いま」限定である理由も、ガイドが書いています。「西暦838年、平安時代の噴火によってできた天上山は、山としては成長初期。軽石や火山灰が堆積した地盤は雨水を透過しやすく、加えて冬の西風のため土壌が成熟していません。そのため高木が少なく、シダや海浜植物、山地性の植物までが、ひとつの山で一度に観察できるという珍しい植生が楽しめます。」

雨水を通しやすく土壌が育っていない地盤——これは、冒頭の通行止めの理由(神津沢が降雨で浸食された)と同じ話です。砂漠のような景色をつくっている地質が、そのまま崩れやすさでもあるわけです。

持ち物と注意点|水場も自販機も日陰もない

ガイドの「登山の注意点」から、事前に効くものを挙げます。

  • トイレは3ヶ所|「お手洗いは黒島登山口・白島6合目・不動池(バイオトイレ)の3ヶ所です。」
  • 水は持参する|水分は夏場なら2リットルが目安とされ、「登山口付近に自動販売機等なし。」と明記されています
  • 日陰がない|「天上山には日陰がないので日焼け対策をしっかりと。」背の高い樹木がないためです
  • 昼食は村の中心部で買う|「登山口付近に商店はないので、村の中心部にある商店で事前に買っていきましょう。」
  • 動植物はとらない|「国立公園の特別保護地区に指定されているため動植物の採集は禁止です。」
  • 火気厳禁|「天上山でのキャンプおよび火気の利用は禁止です。」
  • 毛虫に注意|「特に5〜6月は毛虫が大量に発生します。」
  • 歩道から外れない|「遭難予防や環境保護のため、歩道から外れないようにしましょう。」

緊急連絡先としてガイドは04992-8-0011(神津島村役場)/110番を載せています。装備は20〜25リットルのザック、レインウェア、ハイカットのトレッキングシューズ、帽子が挙げられ、登山用ストックは「登山口にも貸し出し用の杖あり」とされています。

子ども連れについては「標高572mの低山で登山道も整備されているので、お子様や初心者でもチャレンジしやすい山です。初心者向けコースのスタート地点は白島6合目。」としたうえで、「お子様はおおむね6歳以上の安全管理のできる年齢がいいでしょう。」と目安が示されています。

下山後の温泉と、そこへ行くバス

ガイドは下山後の立ち寄り先として神津島温泉保養センターを挙げ、「自然の岩場を利用した露天風呂が人気の温泉です。」と紹介しています。

ここで効いてくるのが、村営バスの西海岸ルートです。前浜港と温泉保養センター・赤崎遊歩道方面を結ぶ路線で、2026年9月の時刻表では1日9便と、島内で最も本数の多いルートになっています。

さらに土日祝のみ「夜間温泉巡回バス」が走ります。前浜港発17:30・18:30・19:50の3便で、運賃は大人200円・小学生100円。時刻表には「温泉⇔村内・キャンプ場の乗り継ぎ料金なし」と書かれています。山を下りてから風呂に行く日は、土日祝なら夜のバスが使えるということです。

いつ登るか

ベストシーズンについて、ガイドははっきり書いています。「天上山は通年で登山が可能ですが、季節の花が咲き、比較的気候もおだやかな春と秋がベストシーズンです。特に5月中旬は、開花したオオシマツツジを見ようと多くの登山者でにぎわいます。背の高い樹木がないため夏は暑さをしのげる場所がなく、冬は島特有の強い西風が毎日のように吹くため注意が必要です。」

花は季節ごとに、春がオオシマツツジ(「砂漠の白に映えるピンクの花」)、夏がサクユリ(「伊豆諸島固有変種」)、秋がリンドウ、冬がツバキと紹介されています。観光協会は554種を収めた「神津島 花図鑑」も販売しています。

天候については、観光協会が「雨天、強風など悪天候の時には大変危険ですので登山はおやめください」と明記しています。日没前の下山も呼びかけられています。

まとめ

  • 山頂部の一部区間が2026年4月14日から通行止め。神津沢の浸食が理由で、2026年9月2日時点で解除の告知は出ていない
  • 迂回路は公式が明示。「なお、白島10合目から最高標高点までは、ババア池方面から迂回可能です。」
  • コースは2本。山頂周遊コース約5時間(昼休憩込みで6時間)、初心者コース約4時間
  • 黒島から登って白島へ下りるのが基本。白島からの登りは公式に「上級者コース」と注記
  • 6合目直行の臨時便は運休中。かわりに定期の村営バスが両登山口の入口に停まる(大人200円)
  • 水・弁当は村の中心部で調達。登山口付近に商店も自動販売機もなく、日陰もない
  • 不入ガ沢は神域で立ち入り禁止。コースは脇を通るが、沢には入らない

通行止めは不便ですが、迂回路まで公式が示しているので、事前に把握していれば行程は組めます。出発前に村役場のお知らせと当該期間のバス時刻表を見ておく——この2つが、いまの天上山でいちばん効く準備です。

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参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。とくに通行止めの状況とバスの時刻表は変わります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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