伊豆大島の椿めぐり|島に3つある国際優秀つばき園と、バスが走る日で決まる回り方

椿の枝がトンネル状に覆う遊歩道

伊豆大島には約300万本のヤブツバキが自生しています(大島町)。そしてこの島には、国際ツバキ協会が認定する「国際優秀つばき園」が3つあります。世界に約40か所しかない認定園のうちの3つが、ひとつの島に集まっている——という事実だけで、椿を目的に船に乗る理由は十分です。

ただ、3園は料金も、開いている時期も、たどり着く手段も揃っていません。とくにバスは、園によって「毎日走る路線」と「土日祝しか走らない路線」に分かれます。ここでは公式の運賃表と時刻表から、椿めぐりの組み立て方を具体的にまとめます。

大島の椿は、見るためではなく搾るために育てられた

公園を管理する東京都大島支庁の解説によれば、伊豆大島の椿は種子から椿油を搾るために育てられてきた木です。島でもっとも普通に行われてきた栽培方法は、雑木林を椿だけ残して伐採して「椿山」にするというもの。島がヤブツバキ(Camellia japonica)の自然分布域の中にあるからこそ成り立つやり方で、椿山として管理された林は島内のいたるところで見られます。

使い道は油だけではありません。同支庁は、材は硬いので工芸用品や火持ちの良い椿炭に、枝葉の灰は染物の媒染剤に、油の搾りかすは燃料や肥料に使われてきたと説明しています。椿油そのものも、大島町によれば食用・灯用・薬用・化粧用と幅広く使われ、江戸時代に入って髪の手入れのために広まりました。今もヘアオイルや食用油として島の産業になっており、町の公式ページには搾油体験や椿の花びら染め体験を扱う事業者も並んでいます。

島内でとくに椿の大木が残っているのは、泉津の椿トンネルと差木地・沖の根の椿並木だと大島支庁は挙げています。泉津は後述する大島公園ラインの経路上にあり、路線バスにはそのものずばり「椿トンネル」という停留所があります。

花と明日葉の天ぷらの籠盛り
籠に盛られた花と明日葉の天ぷら。島の植物は、そのまま食卓にも上がる

島に3つある「国際優秀つばき園」

国際優秀つばき園は、国際ツバキ協会(ICS)が認定する椿園です。大島町の説明では、認定には展示品種数200種以上・優秀な管理・継続的な運営といった基準の審査があり、世界でも約40か所しかありません。伊豆大島では2016年2月に、都立大島公園・都立大島高校・椿花ガーデンの3園が同時に認定されました。

園 規模(公式表記) 料金 開いている時間 最寄バス停
都立大島公園 椿園 約1,000品種3,200本+ヤブツバキ約5,000本/7ヘクタール 無料 終日開園(椿資料館8:30〜16:30・年中無休) 大島公園
都立大島高校 椿園 約380種類・1,000本以上 学校公式に記載なし 椿まつりに合わせて一般公開 大島高校前
椿花ガーデン 約400品種2,000本 大人1,150円/子供(4才以上)600円(2026年10月改訂) 9:00〜15:00(シーズン9:00〜16:30)水・木休 椿・花ガーデン

※料金・時間は各公式サイトの掲載(2026年9月時点の目安)。椿花ガーデンの入園料は、公式サイトに「2026年10月改訂」として掲示されている額です。

都立大島公園 椿園|無料・終日開園で、資料館まで無料

島の北東、泉津にある都立公園です。大島支庁によれば、昭和15年ごろに埼玉県安行から入れた苗のうち約100品種をもとに昭和32年ごろから整備が始まり、園内をテーマごとに9つのゾーンへ分けて、約1,000品種3,200本の園芸品種と約5,000本のヤブツバキを持つ国内最大規模の椿園になりました。原種・江戸椿・花色別・唐椿・変わり葉・産地別といったゾーンの切り口そのものが見どころです。

敷地は7ヘクタール(東京ドーム約1.5個分)で終日開園、展示温室のみ椿まつり期間中の9:00〜16:00に開きます(大島町)。同じ大島公園には動物園(約65種750点)もあります。なお園の規模は出典によって表記に幅があり、大島町の観光ページでは「園芸品種約450種3,700本」としています。

見落としたくないのが椿資料館です。年中無休・8:30〜16:30・入館無料で、昭和13年に宿泊施設「黒潮小屋」として建てられた建物を改修し、2011年1月28日にリニューアルオープンしました。椿まつりの期間は切花を、それ以外の季節はドライフラワーを展示していて、花の少ない時期に行っても椿を見られる場所になっています。

都立大島高校 椿園|学校の椿園としては世界で初めての認定

高校の敷地内にある椿園です。学校公式によれば、農林科が昭和52年から大島公園の園芸品種を順次導入し、挿し木や接ぎ木で増やしてきたもので、現在は約380種類の原種・園芸品種が校内に植えられています。大島町は、実際に教育材料として使われている椿園は世界でも珍しく、学校の椿園が国際優秀つばき園になった例はこのときが初めてだったと説明しています。

ここは学校施設なので、いつでも入れるわけではありません。学校公式は、毎年1月下旬から開催される椿まつりに合わせて大島高校椿園も一般公開していると案内しています。旅程が椿まつりの時期と重なるなら、その年の公開日を確かめて組み込む価値があります。

椿花ガーデン|早咲きの品種と、丘からの眺め

元町の高台にある私設の椿園で、約400品種2,000本。大島町は、早咲きの品種を数多く見られる点と、視界の開けた丘から富士山を望める点を認定の要素として挙げています。公式の営業案内は9:00〜15:00(シーズン中は9:00〜16:30)、休園日は水曜・木曜(シーズン中は休園日なし)。入園料は公式サイトに「2026年10月改訂」として大人(中学生以上)1,150円、子供(4才以上)600円と掲示されています。ここへ向かうバスが曲者で、詳しくは次の章のとおりです。

見頃は11月から4月。ただし「その年の花」は開花状況で確かめる

大島支庁は椿園の花期を11月から4月、特に2月から3月が見頃としています。一方、大島町の観光ページは「開花期は11月から4月で、特に1月から3月にかけ花盛り」。どちらも公式ですが、ピークの言い方には少し幅があります。

幅が出るのは、実際の開花が年によってずれるからです。暖冬だった年には、見頃が例年より早まると報じられたこともありました(2020年1月のニュース映像)。だからこそ、大島支庁が公開している「椿園開花状況マップ」「椿園開花状況リスト」が効きます。品種ごとの咲き具合が更新されるので、日程を決める前に一度開いておくと、同じ2月でも当たり外れが変わります。

バスは「毎日走る路線」と「土日祝だけの路線」に分かれる

ここが椿めぐり最大の落とし穴です。大島公園へは大島公園ライン(毎日運行)、椿花ガーデンへは三原山ラインで向かいますが、三原山ラインは2026年10月1日〜2027年2月5日のダイヤで土日祝と年末年始(12月26日〜1月3日)のみ・1日3便です。つまり平日に椿花ガーデンへ行くなら、バス以外の足を用意することになります。

区間 路線 大人運賃 所要(目安) 運行日
元町港 → 大島公園 大島公園ライン 690円 約30分 毎日・1日9便
岡田港 → 大島公園 大島公園ライン 450円 約13分 毎日
椿トンネル → 大島公園 大島公園ライン 240円 約4分 毎日
元町港・岡田港 → 椿・花ガーデン 三原山ライン 300円 約8分 土日祝と年末年始・1日3便

※大島バスの運賃表(令和8年1月1日)と時刻表(2026年10月1日〜2027年2月5日)より。所要時間は時刻表の発着時刻から算出したもので、大島町の案内では元町港から大島公園まで35分と表記されています。ダイヤは期間ごとに切り替わります。

支払い方法にも注意が必要です。大島バスは後払い方式で、現金またはPayPayのみの取り扱い。全路線に乗り降りできる1日乗車券は大人2,500円(小人1,250円)、2日乗車券は大人3,800円で、車内や大島営業所で買えます。また公式が明記しているとおり路線バスは船便・航空便と接続していないので、港からの乗り継ぎは自分で余裕を見ておきます。

花の見方を覚えると、園の歩き方が変わる

1,000品種の園を「きれいだった」で終わらせないために、大島支庁が紹介している見方を持っていくと歩き方が変わります。

大きさは花の直径で分類され、極小輪(4センチ以下)から極大輪(13センチ以上)まで5段階。極小輪の胡蝶侘助と極大輪のハッピー肥後を並べると、同じツバキとは思えません。咲き方は一重・八重・牡丹・千重・列弁・蓮華・宝珠・唐子・獅子・二段の10種類。もとになったヤブツバキは花弁5〜6枚の一重咲きで、選抜と改良の積み重ねでここまで増えました。雄しべも見どころで、閉じ芯・梅芯・侘芯・輪芯などの形があり、色は白のほかクリーム色や紅色になります。なお、青いツバキはありません。

実際のダイヤで組む|平日は大島公園に半日、土日祝は2園を1日で

平日は大島公園に絞ります。元町港8:20発→大島公園8:50着で入り、帰りは大島公園12:00発→元町港12:30着。椿園と椿資料館に3時間10分使える計算です。短めでよければ大島公園10:30発(元町港11:04着)で1時間40分。平日に椿花ガーデンへ行きたい場合は、レンタカーやタクシーを手配します。

土日祝なら2園を1日で結べます。元町港8:20発(三原山ライン)→椿・花ガーデン8:28着、椿・花ガーデン11:47発→元町港11:55着。港で昼食をとって、元町港13:00発(大島公園ライン)→大島公園13:30着、大島公園15:00発→元町港15:30着。椿花ガーデンに3時間19分、大島公園に1時間30分という配分です。

便によっては「元町港出帆の日」「岡田港出帆の日」で時刻が変わります。当日の発着港は天候・海象で決まるため、朝に確認してから最終形を決めるのが安全です。

まとめ

伊豆大島の椿めぐりは、「3つの認定園をどう束ねるか」ではなく「どの園が、その日開いていて、バスが走るか」で決まります。無料で終日入れて資料館まで無料の大島公園を軸に、土日祝なら三原山ラインで椿花ガーデンを足し、椿まつりの時期に当たれば大島高校の椿園を加える——この順番なら、平日でも空振りしません。日程を決める前に開花状況のページを開くこと、バスは現金かPayPayを用意すること。この2つを押さえておけば、椿の島の一日は組み上がります。

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参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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