伊豆大島の歩き方|三原山・地層大切断面・椿の島

東京・竹芝から高速ジェット船で最短約1時間45分。伊豆諸島最大の島「伊豆大島」は、標高758mの活火山・三原山を中心に、黒いスコリアが広がる裏砂漠、縞模様の地層大切断面、そして冬から早春を彩る椿と、火山島ならではの景観が凝縮された島です。日本ジオパークにも認定されたこの島の歩き方を、見どころごとに整理しました。

項目 内容
エリア 東京都大島町(伊豆諸島最大の島)
アクセス 東京・竹芝から高速ジェット船で大島まで最短約1時間45分。大島→利島→新島→式根島→神津島の航路で最初の寄港地
主な見どころ 三原山(お鉢めぐり・裏砂漠)、地層大切断面、大島公園椿園
ベスト時期 椿は例年おおむね2〜3月(椿まつり期間)、トレッキングは通年
島の味 べっこう寿司(島寿司)、椿油
地質 標高758mの活火山・三原山を擁し、島は日本ジオパークに認定

三原山とお鉢めぐり

島の中央にそびえる標高758mの三原山は、今も火山活動を続ける活火山です。山頂口までバスで上がれば、舗装された遊歩道からカルデラと火口を望むことができます。体力に余裕があれば、火口を一周する「お鉢めぐり」に挑戦したいところ。火口は直径約300m、深さ約200m以上というスケールで、足元から地面の熱を感じながら歩くコースです。

山頂遊歩道からカルデラ周廻線(火口一周コース)、裏砂漠線までを通しで歩くコースは、総距離約7.9km・所要およそ155分が目安とされています。舗装路と砂利道が混在するため、歩きやすい靴が欠かせません。

裏砂漠 ― 日本で唯一「砂漠」と記される場所

三原山の北東側に広がる裏砂漠は、国土地理院の地図で日本で唯一「砂漠」と表記されている場所です。噴火のたびに降り積もった火山灰と黒いスコリア(軽石状の火山岩)が地表を覆い、植物のほとんどない一面の黒い大地が広がります。ここを含む山頂カルデラ内は富士箱根伊豆国立公園の特別保護地区に指定され、監視・緊急車両を除いて車両の乗り入れは禁止されています。歩いてこそ出会える景観です。

地層大切断面 ― バウムクーヘンの断面

島の南西側、元町港から波浮港へ向かう島一周道路沿いにあるのが地層大切断面です。高さ約30m・長さ約600mにわたって縞模様の地層が続き、その見た目から地元では「バウムクーヘン」とも呼ばれています。これはおよそ100〜200年に1回という大噴火のたびに降り積もったスコリアや火山灰が幾重にも重なったもので、伊豆大島の噴火史をそのまま読み取れる、ジオパークを象徴するスポットです。

伊豆大島の地層大切断面
島一周道路の脇に約600mも続く地層大切断面。降り積もった火山灰とスコリアの縞模様が、地元で”バウムクーヘン”と呼ばれる

椿の島 ― 大島公園椿園と椿まつり

伊豆大島は「椿の島」とも呼ばれ、島には自生する椿が数多く見られます。なかでも東京都立大島公園の椿園は、約7ha(東京ドーム約1.5個分)の敷地に約1,000品種・園芸品種約3,200本と、ヤブツバキ約5,000本が育つ大規模な椿園。2016年には国際ツバキ協会から「国際優秀つばき園」に認定されています(大島高校・椿花ガーデンと同時認定)。

大島公園椿園の椿
大島公園椿園を彩る椿。約1,000品種・3,200本が集まる国際優秀つばき園で、冬から早春にかけて見頃を迎える

椿の見頃に合わせて開かれるのが冬の風物詩「椿まつり」です。第71回となる2026年は2月1日〜3月22日、元町港地区をメイン会場に催しが行われます。開催期間は年により変わるため、最新の日程は公式情報でご確認ください。

大島の椿のトンネル
椿の枝がトンネルを描く小径。「椿の島」大島には自生の椿が多く、その数は300万本ともいわれる

島の味 ― べっこう寿司と椿油

大島の食で外せないのが、島寿司とも呼ばれる「べっこう寿司」。メダイやブダイなど旬の魚を青唐辛子醤油ベースの特製ダレに漬けた郷土料理で、飴色(べっこう色)に照る身が名前の由来です。もう一つの名物が椿油。ヤブツバキの実から搾られる大島の特産品で、食用にも、髪や肌のケア用にも使われ、土産としても親しまれています。

大島名物のべっこう寿司
大島名物のべっこう寿司。旬の白身魚を青唐辛子醤油のタレに漬けた島寿司で、飴色に照る身が名前の由来
大島の椿の花の天ぷら
大島では椿の花も天ぷらでいただける。椿や明日葉など、島の恵みを揚げた一皿も「椿の島」ならではの味わい

ベスト時期とモデル的な回り方

椿を主役に据えるなら、まつりが開かれる2〜3月がベスト。三原山や裏砂漠のトレッキングは通年楽しめますが、視界の利く晴天日が狙い目です。日帰り〜1泊なら、竹芝発の高速ジェット船で午前に到着し、バスで三原山頂口へ。お鉢めぐりや裏砂漠を歩いたあと、下山して昼にべっこう寿司。時間があれば島一周道路沿いの地層大切断面へ立ち寄り、シーズンなら大島公園椿園を合わせる、という流れが組みやすいでしょう。

伊豆大島の海沿いサイクリングロード
海沿いに延びるサイクリングロード。大島は一周約46km、レンタサイクルやバスで火山と海辺の景色をつないで巡る旅も楽しい

訪れる前の注意点

三原山や裏砂漠は遮るもののない開けた地形で、風が強く日差しも直接あたります。防寒・日焼け対策と、砂利で滑りやすい足元への注意を。裏砂漠一帯は特別保護地区のため車両では入れず、徒歩が前提です。船の時刻・運賃、椿まつりの開催期間、各施設の営業状況は変動するため、出発前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

まとめ

火口を巡るお鉢めぐり、日本で唯一の「砂漠」、噴火史を刻んだ地層、そして300万本ともいわれる椿。伊豆大島は、火山の営みと島の暮らしが同時に味わえる場所です。東京から高速ジェット船で最短約1時間45分という近さも魅力。晴れた日を選んで、活火山の島をゆっくり歩いてみてください。

参考・出典

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