伊豆諸島の旅で「島に着いてからの足」を調べ始めると、多くの人が同じところで止まります。レンタカーの料金が、公式サイトに載っていないのです。事業者の名前と電話番号は並んでいるのに、1日いくらなのかが書かれていない。ネットで予約を完結させるつもりでいると、ここで手が止まります。
この記事は、9島それぞれの公式サイトを実際にあたって、料金が公式に読める島と、電話で聞くしかない島を分けたものです。あわせて、島ごとに理由の違う「予約しないと借りられない」事情を、公式の書きぶりのまま並べました。事業者ごとの一覧は伊豆諸島の島内交通ガイドにまとめてあるので、この記事は「いくらで、どう借りるか」に絞ります。
そもそも、自分の車は持ち込めない
話の出発点はここです。東海汽船は「よくあるご質問」で、「東京発着の大型客船に車を積むことはできません。貨物船での輸送となります」と明記しています。貨物船で送ることはできますが、同社は「貨物船の運航は週2、3便のためご希望の通りの日程で輸送できない可能性があり、ご旅行での利用にはお勧めできません。現地レンタカー等をご利用ください」と続けます。さらに「貨物船にお客様が乗船することはできません。車両のみの輸送となります」。つまり車だけ先に送って自分は客船で行く、という形になり、旅行の日程には噛み合いません。
例外は、下田からのフェリーだけ
東海汽船は「カーフェリーは、下田発着の神新汽船のみ積み込み可能です」と書いています。下田港からのフェリーは利島・新島・式根島・神津島を結ぶ航路で、神津島観光協会のアクセスページには最短2時間20分、水曜日運休、そして「車両・オートバイ・裸自転車は完全予約制」と書かれています。「裸自転車」は輪行袋に入れていない自転車のことで、これも予約が要ります。神津島観光協会も自家用車の項で、下田航路はカーフェリーなので車を載せて来られると案内したうえで、潮の満ち引きによって車両を積めない場合もあるので神新汽船に必ず確認するようにと書いています。本土から島への行き方の全体像は別記事にありますが、マイカーを前提にできるのは下田航路の4島だけ、と覚えておくと計画が早くなります。
料金が公式に読める島は、そう多くない
9島の公式サイトを1つずつ見ていくと、料金の書きぶりがきれいに割れます。
| 島 | レンタカーの料金 | 自転車・バイクの料金 |
|---|---|---|
| 伊豆大島 | 掲載なし(観光協会サイトは2社の連絡先) | ◯ 観光協会が目安表を掲載 |
| 利島 | 事業者なし | 事業者なし |
| 新島 | ◯ 村観光案内所が目安を掲載 | ◯ 同上 |
| 式根島 | 掲載なし(事業者の一覧のみ) | 掲載なし(事業者の一覧のみ) |
| 神津島 | △ 店舗ページに1社ぶんの料金 | △ 店舗ページに1社ぶんの料金 |
| 三宅島 | 掲載なし(2社の一覧のみ) | 掲載なし |
| 御蔵島 | 事業者なし | 事業者なし |
| 八丈島 | 掲載なし(島内交通26件の一覧のみ) | 掲載なし |
| 青ヶ島 | 掲載なし(2社の連絡先のみ) | 事業者なし |
新島は、目安の一覧が公開されている
新島村観光案内所の「島内での移動」ページには、「事業者により異なりますので、あくまで目安になります」と断ったうえで、数字が並んでいます。9島のなかで、この形で一覧になっているのは新島だけです。
| 種類 | 目安の料金 |
|---|---|
| レンタカー 普通車 | 8時間 10,000円〜/1日 13,000円〜 |
| レンタカー 軽自動車 | 8時間 7,000円〜/1日 8,000円〜 |
| レンタサイクル | 8時間 1,200円/1日 1,500円〜(電動自転車は1日3,000円ほど) |
| レンタバイク 50cc | 3時間 3,500円〜 |
伊豆大島は、車ではなく自転車とバイクの料金表がある
大島観光協会の島内交通ページには、レンタカーの料金は載っていません。載っているのはレンタサイクルとレンタバイクの料金目安です。マウンテンバイクが1時間800円・1日2,000円、普通車(シティサイクル)が1時間600円・1日1,500円。バイクは50ccが1時間1,300円・1日4,000円、90ccが1時間2,500円・1日8,000円。いずれも「詳しくは各店舗にご連絡をお願いいたします」という注記つきです。
おもしろいのは、同じページでタクシーの料金のほうが細かく公開されていることです。貸切は2時間で中型13,320円・大型18,920円、5時間で中型33,300円・大型47,300円。区間の目安も、元町港から大島空港まで中型で約1,700円、元町港から三原山の火口展望台コースで約4,400円、といった具合に並んでいます。レンタカーが埋まっていても、貸切タクシーなら値段の見当がつく、ということでもあります。ただし同ページには「流しのタクシーはありません。夜間はほとんど営業しておりません。ほとんどのタクシーが港、空港で客待ちをしています」とも書かれています。
神津島は、店舗ページに1社ぶんだけ料金がある
神津島観光協会のサイトは、事業者ごとに個別ページを持っています。そのうち「まるはんレンタカー」のページには軽トラック8,800円/1日、軽自動車11,000円/1日、普通自動車12,100円/1日と料金が出ています。同ページには「民宿まるはんをご利用のお客様は割引料金でお貸しいたします」という記載もあり、宿と車をセットで考える島の商習慣がそのまま出ています。神津島港から徒歩3分。
自転車も同じ形です。「神津島オートサービス」のページにはレンタサイクル40台・レンタバイク40台、自転車が2時間1,000円から、バイクが2時間2,300円からと出ています。通年営業で8時から17時。そして「事前予約は受け付けておりません。直接、ご来店ください」と明記されています。新島の案内所が一般論として書いていた「予約を受け付けていない事業者」が、神津島では店の名前まで分かる形で公開されているということです。
もうひとつ、同じサイトの「レンタバイク・スズキ」のページには「夏季のみの営業です」とあります。季節によって、そもそも借りられる乗り物が変わる。これは本土の感覚では抜けやすいところです。

「予約しないと借りられない」理由は、島ごとに違う
どの島の公式サイトも予約をすすめていますが、その理由が島ごとに違います。ここを読み分けておくと、電話で何を言えばいいかが変わります。
伊豆大島|釣りに使うなら、そう言って予約する
大島観光協会は、釣り客に向けてこう書いています。「釣りで使用される旨をお伝えいただいたうえでご予約をお願い致します。事前予約がない場合はご利用できないことがあります」。さらに、申し出のないまま釣り竿や餌を積んで車内に匂いがついた場合は、所定の清掃料金を負担することがある、とも続きます。用途を伝えることが、予約の条件になっている例です。
新島|繁忙期と、予約を受けていない自転車屋
新島村観光案内所のQ&Aは「連休中や夏の繁忙期は予約がおすすめです。レンタサイクルは予約を受け付けていない事業者もございますので、ご注意ください」としています。予約したくてもできない店がある、というのは重要な情報です。同ページはさらに「釣りやペットなど、事業者によっては受け入れできない場合もございます」と書いています。
神津島|台数に限りがある
神津島観光協会は、旅の予約手順のなかで「レンタカーは数に限りがありますので、お早めの予約をおすすめしています。また、主要な観光スポットや港間の移動は村営バスをご利用ください」と案内しています。借りられなかったときの代わりまで、同じ文で示しているのが特徴です。
三宅島|着く港が、当日の朝3時30分に決まる
ここがいちばん実務的です。三宅島観光協会のよくある質問には「三宅島には3つの港があり、当日の海況等によりどの港を使うか決まります。港の決定は早朝3:30の為、前日には分かりません」とあります。そのうえで「タクシー・レンタカーを事前に予約しておけば港までお迎えに来てくれます」。どの港に着くか分からないからこそ、迎えに来てもらう予約が要るという構図です。予約せずに着いた場合は、早朝の定期船なら港に臨時バスが2台待機していますが、船の到着から15分ほどで出てしまい、次は2〜2.5時間後になります。
新島にも似た話があります。ジェット船の発着が若郷漁港になった場合について、村の案内所は「送迎サービスをおこなっていない事業者さんもございますのでお気を付けください」と書いています。島から島へ渡る旅を組むときは、この「着く港が変わる」前提を日程に織り込んでおくと安全です。
自転車で足りる島、足りない島
島の大きさと道の作りで、自転車で成立するかどうかが分かれます。
式根島は、レンタサイクル・レンタバイクの事業者数が伊豆諸島でもっとも多い島です。東京都の公式ページは式根島のレンタサイクル・レンタバイクを9件と数えていて、レンタカーは2社。観光協会のページにも店が並んでいますが、料金は載っていません。その観光協会のページには「式根島にはタクシーがありません」とはっきり書かれています。同じページの「一見たいらに見える式根島。島の中に入ると意外とアップダウンがキツい」という一文は、実際に走る前に読んでおく価値があります。歩いてもまわれる島ですが、坂は覚悟しておくということです。

反対に、新島は自転車では行けない区間があります。村の案内所はレンタカーの説明に「平成新島トンネルは自転車では通行できませんので、北部に行きたい方やアクティブな方にオススメです」と書いています。若郷側へ渡るトンネルは徒歩と自転車が通行禁止で、車かバイクでしか通れません。送迎がない場合は、ジェット船が若郷漁港に着いたときに走る無料の臨時バスを使うことになります。島の全体像は新島の旅行ガイドにまとめています。
三宅島は一周が約30kmで、観光協会は「徒歩だと8〜9時間位が目安です」としています。自転車なら回れなくはない距離ですが、1日で観光まで含めるとなると車のほうが現実的です。青ヶ島にいたっては、路線バスもタクシーもレンタサイクルもなく、レンタカー2社だけが東京都の公式ページに載っています。
給油の時間も、島では条件になる
見落としやすいのが給油です。八丈島観光協会の島内交通の一覧を見ると、ガソリンスタンド2軒はどちらも日曜が定休日と書かれています。三宅島では、レンタカーの2社がどちらも「レンタカー・ガソリン・灯油」を扱う店で、車を借りる店と給油する店が同じです。神津島も、観光協会が載せている2軒のうち1軒は水曜定休、もう1軒は朝7時30分から夕方5時30分までの営業と案内されています。返却前に満タンにする約束なら、日曜や夕方の営業時間を先に確認しておくと安心です。
まとめ
整理すると、伊豆諸島で足を確保する手順はこうなります。まず、自分の車は基本的に持ち込めない(例外は下田発着のフェリーで、車両・オートバイ・裸自転車は完全予約制)。次に、料金を先に知りたいなら、車も自転車もそろって目安が出ているのは新島、自転車とバイクだけなら伊豆大島。そのほかの島は電話で聞くのが正規のルートです。
そして予約は、値段の交渉ではなく「迎えに来てもらう手配」でもあるということ。三宅島のように着く港が当日の朝まで決まらない島では、予約がそのまま移動手段になります。台数に限りのある島、予約を受け付けていない自転車屋、夏だけのバイク屋。どれも本土の感覚からは抜けやすい条件です。島内交通の全体像と合わせて、旅程を組む前に1本電話を入れておくのが、いちばん確実な近道になります。
参考・出典(公式サイト)
- 東海汽船「よくあるご質問」(車の積み込み・貨物輸送)
- 新島村観光案内所「島内での移動」(料金の目安・予約のQ&A)
- 大島観光協会「島内交通・移動手段について」
- 神津島観光協会「神津島への道のり」(予約手順)
- 神津島観光協会「まるはんレンタカー」
- 神津島観光協会「島内の交通手段」(自家用車・ガソリンスタンド)
- 神津島観光協会「神津島オートサービス」
- 三宅島観光協会「よくある質問」
- 三宅島観光協会「島内交通・カーサービス」
- 式根島観光協会「レンタカー・レンタサイクル」
- 八丈島観光協会「島内交通」
- 東京都「アイランドアクセス」青ヶ島
- 東京都「アイランドアクセス」式根島
- 東京都「アイランドアクセス」利島
- 東京都「アイランドアクセス」御蔵島
※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)
