東海汽船の割引のしくみ|早割とネット割は2026年4月に廃止。大人が自力で使えるのは年会費1,000円の会員証だった

夜の竹芝客船ターミナルの入口看板

東海汽船の公式サイトには「割引情報」というページがある。開いてみると、並んでいるのは団体割引・シルバー割引・学生割引・障がい者割引の4つだけだ。大人がひとりで伊豆諸島への船を予約しようとすると、このうち当てはまるものが一つも無い、ということが起こる。

しかも2026年4月1日乗船分から、インターネット割引と早期購入割引が廃止された。「早めに予約すれば安くなる」は、伊豆諸島の船にはもう無い。ではいま何が残っているのか。公式の割引情報・運賃表・運賃及び料金の適用方・お知らせを突き合わせて、旅行者が実際に使える順に並べ直した。

2026年4月1日乗船分から、早割とネット割は無くなった

東海汽船は2026年1月27日付のお知らせで、それまで実施していた「インターネット割引」と「早期購入割引」を2026年3月31日(火)乗船分をもって適用終了すると告知した。廃止日はどちらも2026年4月1日(水)乗船分から。理由として挙げられているのは、近年の人件費や船舶修繕費等の上昇による経営環境だ。

検索で出てくる古い旅行記やまとめ記事には、いまも「ネット予約で割引」「早く買うほど安い」と書かれているものがある。2026年9月の時点で、その2つは存在しない。

予約そのものは、これまでどおりネットで完結する

割引が無くなっただけで、インターネット予約は続いている。同じお知らせによれば、予約できるのは乗船日の2か月前の同日0:00から、利用する便の出航1時間前まで。新規予約のあとは期限内にクレジットカード決済が必要で、決済前なら無料で変更・キャンセルができる。決済後も、同じ便の中での等級ランクアップや発着地の変更は無料とされている。

そして見落とされやすいのが、学生割引・障がい者割引・株主割引はこれまでどおり予約時に選択できると明記されている点だ。割引を使いたいから電話で、という手間は要らない。ただし証明書の確認は窓口で行うので、乗船券の受け取りには時間の余裕を持っておきたい。

竹芝の岸壁に停泊する高速ジェット船と東京の高層ビル群
竹芝に停泊する高速ジェット船。学生割引もシルバー割引も、適用等級は「全等級」=ジェット船も対象になる

公式「割引情報」に並ぶ4つ

ここからが割引情報ページの中身だ。4つとも適用等級は「全等級」で、大型客船の2等からジェット船まで対象になる。

学生割引 20%|対象は中学生から

割引率は20%。学生証の提示が必要で、インターネットまたは電話で予約したあと、窓口で学生証を見せて購入する流れになる。

「学生」の線引きは運賃及び料金の適用方に書かれている。対象は学校教育法第1条の中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・高等専門学校・大学・特別支援学校(通信教育を含む)などの学生および生徒で、小児は除く。つまり小学生は学生割引の対象ではない。もっとも小学生は「こども」として表示運賃の半額になるので、そちらの方が安い。適用されるのは本土と伊豆諸島の間、および伊豆諸島の各島間(東京湾内周遊航路を除く)。学生証のかわりに、学校長等から交付された旅客運賃割引証を提出する方法もある。

シルバー割引 10%|ただし通常期だけ

満65才以上と、同行する大人1人までが対象で、割引率は10%。条件として通常期のみと書かれており、繁忙期は適用されない。どの日が繁忙期かは割引情報ページのカレンダーに日付単位で示されていて、「大型客船 東京発夜行便」について繁忙期の日が塗られている。予約は電話で行い、窓口で免許証や保険証など年齢が分かるものを提示して購入する。

団体割引|15名から、学生団体は最大30%

同一区間・同一便・同一等級を15名以上で利用する場合に適用され、7日前までの申し込みが必要。一般団体は人数とシーズンで10〜20%、学生団体(中・高・大学)は15名以上で25〜30%、小学生の団体は10%。2026年のハイシーズンは5月1日〜5月6日、7月17日〜8月31日、12月25日〜2027年1月3日で、それ以外はレベルシーズンとされている。申し込みはお客様センターへの電話で、乗船する港で団体名簿を提出する。学生団体は、学校等の教職員が引率する団体に限られる。

障がい者割引 50%

身体障がい・知的障がい・精神障がいそれぞれについて、手帳を持つ本人と介護者1名が50%引き。予約はインターネットまたは電話で、窓口で手帳を提示して購入する。障がいの種別や等級によって介護人・付添人が必要になる場合があり、その判断はお客様センターへの問い合わせとされている。

割引情報ページに載っていない2つ

以上の4つは、一人旅の大人にはどれも当てはまらない。それでも運賃を下げる手段は2つある。どちらも「割引情報」ページではなく、別のページに置かれている。

伊豆諸島クラブ|年会費1,000円で一般乗船券が1割引

東海汽船の公式アプリの中に「伊豆諸島クラブ」というデジタル会員証がある。年会費は1,000円(税込)で、東海汽船の一般乗船券・企画旅行商品・東京湾納涼船が1割引。しかも会員本人を含めて最大5名まで、年内なら何度でも使えると案内されている。会員証はアプリから購入し(支払いはクレジットカードのみ)、発券窓口で提示する。提示できない場合は差額を支払うことになる。

年会費1,000円の元が取れるかどうかは区間で決まる。2026年9月の運賃表(大人片道・消費税と燃料油価格変動調整金を含む)から、2等運賃と1割引の目安を並べるとこうなる。

区間(2026年9月・大人片道) 2等運賃(目安) 1割引の目安
東京〜大島 6,430円 約640円引き
東京〜新島・式根島 8,670円 約860円引き
東京〜神津島 9,190円 約910円引き
東京〜三宅島 9,690円 約960円引き
東京〜八丈島 12,140円 約1,210円引き
東京〜大島(ジェット船) 10,430円 約1,040円引き

運賃は東海汽船「運賃表」2026年9月分より(10円未満切り上げ・燃料油価格変動調整金を含む)。割引額は運賃の1割をこちらで計算した目安で、実際の端数処理は運賃及び料金の適用方による。

八丈島なら片道1回、大島でも往復1回で年会費1,000円を超える計算になる。効き方が大きいのは人数で、大島を4人で往復すれば1割引が8区間ぶん働く。会員証を持つ人が1人いれば足りるので、家族や友人グループで行くなら真っ先に検討したい。

会員証にはスタンプの仕組みも付いていて、本土と各島の間の乗船やイベント参加でスタンプが貯まる。ブロンズ(9個)で2割引乗船券、シルバー(15個)で3割引乗船券のクーポンが案内されている。島々間の航路や特別プランのきっぷは対象外で、スタンプが付くのは会員本人の乗船に限られる。

株主優待|35%、ただし7月と8月は25%

もう一つが株主乗船割引券だ。12月31日現在および6月30日現在に100株以上を所有する株主に発行され、全航路の全等級について、1人1区間につき1枚で所定運賃の35%引き(7月・8月の乗船は25%引き)。発行枚数は100〜199株で10枚、200〜399株で20枚、400〜599株で30枚、600株以上で40枚。有効期間は4月1日〜9月30日ぶんと10月1日〜翌年3月31日ぶんの半年ごとで、送付はそれぞれ3月中旬と9月中旬になる。

割引率だけ見れば最も大きいが、株を持っていることが前提になる。なお2026年1月15日付で、株主乗船割引券・株主サービス券の偽造券の流通が確認されたという告知が出ている。偽造券は窓口で利用できず、返金・交換等の責任は負わないとされ、利用時に券面の確認で時間をもらう場合があるとも案内されている。

夜の竹芝客船ターミナル前の広場と乗船を待つ人たち
夜行便が出る前の竹芝。どの割引も、証明書や会員証の確認は窓口で行われる

どの割引にも共通する4つのルール

割引情報ページの「ご利用にあたって」に、全部に効いてくる前提が書かれている。

  • 重複は不可。該当するもの一つだけが適用される
  • 適用航路は東海汽船航路で、神新汽船航路は除く。下田から利島・新島・式根島・神津島へ渡る「フェリーあぜりあ」は対象外になる
  • 東海汽船のセット旅行・往復きっぷ等には適用されない(乗船券のみの適用)
  • 割引は1人あたりの運賃に対して算出され、10円未満の端数は切り上げ。燃料油価格変動調整金が適用になる月は、調整金を含む金額から割引される

割引が効かない料金もある

橘丸の特1等和室に必要なルームチャージ料金には、割引が適用されない。ただし運賃及び料金の適用方によれば、2026年4月1日から2027年3月31日利用分については、5月1日東京出発〜5月6日東京到着と7月17日東京出発〜9月23日東京到着を除いて、ルームチャージ料金そのものを収受しないとされている。

船の割引ではないが、旅費に効く|しまぽ通貨

東海汽船の割引とは別枠で、東京都と東京観光財団が「しまぽ通貨」というプレミアム付き宿泊旅行商品券を出している。1セット1万円分を7,000円で購入でき、大島・利島・新島・式根島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島と父島・母島を合わせた11島の加盟店で使える。1万円分のうち3,000円分は宿泊施設での利用が条件で、残りの7,000円分は加盟する飲食店や土産物店などで使える。

使えるのは加盟店での現地払いに限られ、公式サイトにも「しまぽ通貨加盟店のみでのご利用」「各加盟店にて、直接現地でお支払いいただく場合のみ使用できます」と案内されている。つまり乗船券を安くする仕組みではないが、宿と島での支払いに効くぶん、金額としては乗船券の割引より大きくなることがある。2026年9月3日の東京都の報道発表によれば、2026年5月14日から売り出した第1期は完売し、第2期は2026年9月23日正午から25,000セット、第3期は12月21日正午から15,000セットが販売される。購入は1人につき2027年3月31日までに累計8セットまで、有効期限は購入日から180日または2027年3月31日のうち先に来る日まで。購入は公式サイトから電子しまぽ(東京島めぐりPASSPORT)に登録して行う。

旅行者は使えないが、知っておくと運賃が読める2つ

島しょ在住者割引は2026年7月に率が下がった

島に住む人の割引は、2024年5月1日から、運賃改定に伴う暫定措置として率が引き上げられていた。その措置が終わり、2026年7月1日乗船分から客船35%・高速ジェット船30%になっている(改定前は客船40%・ジェット船35%)。利用時は現住所を確認できる身分証明書の提示が必要で、高速ジェット船で伊豆諸島間を往来する場合も30%だが、客船の島々間の利用には適用されない。

夏の運賃はそもそも別立て

運賃及び料金の適用方には「夏期運賃」があり、7月1日から8月31日までの乗船に適用される。東海汽船の運賃表が月ごとに分かれているのはこのためで、夏の運賃を9月の数字で見積もると足りなくなる。例外として、島しょ在住者片道割引の対象者、伊豆諸島出身で伊豆諸島以外の学校に在学している学生割引対象者、島しょ学校行事割引には夏期運賃が適用されないと定められている。

割引早見表(目安)

割引 率 対象 申し込み・確認
学生割引 20% 中学校以上の学生・生徒(小児を除く) ネットまたは電話で予約→窓口で学生証
シルバー割引 10% 満65才以上+同行の大人1人・通常期のみ 電話で予約→窓口で年齢の分かるもの
障がい者割引 50% 手帳を持つ本人+介護者1名 ネットまたは電話で予約→窓口で手帳
団体割引 10〜30% 同一区間・同一便・同一等級の15名以上 7日前までにお客様センターへ電話
伊豆諸島クラブ 1割引 年会費1,000円の会員と同行者・計5名まで アプリで会員証購入→発券窓口で提示
株主乗船割引券 35%(7・8月は25%) 100株以上の株主に発行される割引券 1人1区間につき1枚・予約時に選択可
インターネット割引 2026年3月31日乗船分で終了(2026年4月1日乗船分から廃止)
早期購入割引 2026年3月31日乗船分で終了(2026年4月1日乗船分から廃止)

率は東海汽船「割引情報」「運賃及び料金の適用方」および株主優待・伊豆諸島クラブの各ページより。適用の可否は最終的に窓口の判断になるため、条件が微妙な場合はお客様センター(03-5472-9999・受付9:30〜18:00)で確認するのが早い。

まとめ

2026年9月の時点で、伊豆諸島の船を安くする手段は「身分で決まるもの」と「買えるもの」に分かれている。学生・満65才以上・障がい者手帳・15名以上の団体は、身分のほうで決まる。そこに当てはまらない大人が自分の意思で選べるのは、年会費1,000円の伊豆諸島クラブ(1割引・最大5名)と、株主になって受け取る割引券の2つだ。船賃の外まで広げれば、しまぽ通貨が宿と島での支払いに効く。

そして早割とネット割は、2026年4月1日乗船分から無くなった。予約のタイミングで運賃が変わらなくなったぶん、早く押さえる意味は「安さ」ではなく「席の確保」に移っている。特に個室や寝台は数が限られるので、割引を探すより先に予約開始の日をカレンダーに入れておく方が、結果として旅程は組みやすい。

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参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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