伊豆諸島の山に登る前に|登山届が要る島、山頂が通行止めの島、港から歩く島

三原山 山頂の標柱 標高758m

結論から言うと、伊豆諸島の山は標高が高い順に大変なわけではない。旅程を左右するのは、登山届が要るか、いま通れるか、登山口まで足があるかの3つで、これが島ごとに違う。2026年9月時点で各島の公式が出している内容を、三原山(伊豆大島)・八丈富士(八丈島)・天上山(神津島)・宮塚山(利島)の4つを軸に並べた。八丈島にも同じ名前の三原山があるので、そちらも表に加えている。

標高の順番と、歩く時間の順番は一致しない

標高は八丈富士が854m、三原山(伊豆大島)が758m、天上山が572m、宮塚山が508m。いちばん高い八丈富士は7合目に登山口があり、空港から車で15分で登り始められる。いちばん低い宮塚山がある利島には登山ガイドがいない。公式が示す所要でいちばん長いのは、標高3番目の天上山の約5時間。いちばん高い八丈富士のお鉢めぐりは約1時間だ。標高の順番は、歩く時間の順番にはなっていない。

実際に日程に効いてくるのは、次の3つだ。

登山届を求めているのは八丈島の2つの山

八丈島観光協会によると、2021年3月25日より、八丈富士と三原山(どちらも八丈島の山)に登る人は登山届の提出が義務付けられている。対象は島内外を問わず全ての登山者で、提出方法はQRコードを読み取ってのメール送信、または電話。記載するのは登山場所・登山日時・出発場所・名前・電話番号・生年月日・住所・同行者名で、届出先は八丈島警察署(04996-2-0110/24時間対応)になる。QRコードは八丈富士の登山口と唐滝遊歩道の駐車場、観光協会の施設に設置されている。

ここで紛らわしいのが「三原山」が2つあることだ。届出の対象になっているのは八丈島の三原山(標高700m)で、伊豆大島の三原山(標高758m)とは別の山になる。名前だけで検索すると情報が混ざる。

大島・神津島・利島の村や観光協会の公式ページには、2026年9月時点で登山届を求める案内は出ていない。

いま通れるか|台風と崩落で閉じている道がある

八丈島|2025年秋の台風のあと、山の注意事項が続いている

八丈島観光協会の「観光スポット・施設の営業情報」には、2025年10月の台風22号・23号による被害を受けた案内が載っている。八丈富士については「八丈富士山頂付近は土砂崩れを起こしているため、『山頂』道標辺りで火口の縁に立たない(近づかない・覗き込まない)ようお願いします」「お鉢巡りの道も小さな崩れ、不安定な箇所がありますので、足元は慎重に確認しながら歩行してください」とあり、しばらくの間はなるべく自然ガイドを付けての登山をすすめている。

八丈島の三原山はさらに制限が多い。同じ案内(協会の表記では6月9日時点)は、「車両および徒歩の林道通行止め(関係者のみ通行可):防衛道路、鴨川林道、三原林道」としている。登山や散策ができるエリアとして挙がっているのは八丈富士・硫黄沼・裏見ヶ滝(滝の裏側を通る一周は不可)。三原山山頂から硫黄沼、黒砂砂丘はガイド付きで可、という区分になっている。

状況は動いていて、観光協会は2026年9月15日付で「八丈富士登山 再開のご案内」を出している。出発前に協会の新着を見るのが早い。

八丈富士の登山道にある木の鳥居と、丸石を敷いた石段
八丈富士の登山道。浅間神社の鳥居から先は、丸石を敷いた石段が続く

神津島 天上山|山頂付近の一部区間が通行止め

神津島村は2026年4月14日、天上山の登山道について「神津沢の崩落の進行により歩道路盤の流失可能性がありますので、神津沢崩落地の上端部を通過する登山道区間を通行止めします」と告知した。あわせて「当面の間、登山者の皆様には迂回ルートの利用をお願いします」としている。担当は村役場の産業観光課。

2026年9月24日時点で、村の公式サイトに解除の告知は出ていない。天上山を歩く予定なら、村のお知らせを見てから登山口に向かうことになる。

「天上山々頂」と刻まれた木の標柱と、岩がごろごろした山頂部
天上山の山頂(572m)。岩と低い植生が広がり、その先に海が見える

登山口までの足|車で7合目まで行ける山と、港から歩く山

ここが日程の組み方をいちばん変える。

八丈富士は7合目の登山口(鉢巻道路内)が起点で、八丈島観光協会は空港から車で15分程度としている。レンタカーやタクシーがあれば、朝いちばんから登り始められる。

三原山(伊豆大島)は三原山山頂口の駐車場が発着点になる。伊豆大島ジオパーク公式はモデルコースについて「発着地点ともに路線バスが運行しています」と書いている。大島バスには1日乗車券2,500円・2日乗車券3,800円(小児はそれぞれ1,250円・1,900円)があり、島内の路線バスに使える。

天上山は港から歩いて登山口に着く。神津島観光ガイド公式は、天上山のページで「神津島港より黒島、白島の各登山口まで徒歩40分」、トレッキングのページで「まっちゃーれセンター(観光協会)から黒島登山口までは徒歩で30〜35分程度です」と案内している。どちらにしても、登り始める前に30分以上歩く前提で時間を見ることになる。

宮塚山(利島)は利島村公式が「標高は508mで誰でも気軽に登頂することのできる山です」としつつ、「登山道はあまり人が通らないため、草が生い茂っているところもあります」と書いている。さらに「利島には登山ガイドがいませんので、登山に関するご質問については、ホームページのお問合せまたは、利島村役場 産業観光課(利島勤労福祉会館 内)までご相談ください」とある。山頂に展望はなく、一段下がった北側の展望台から大島や伊豆半島、富士山が見える。

伊豆大島の裏砂漠。黒い火山礫の斜面を2人が歩いている
伊豆大島の裏砂漠。三原山の山頂口から下ると、この黒い地面に出る

早見表|4つの山と、名前が同じ八丈島の三原山

数値は各公式サイトの記載にもとづく目安。所要時間は休憩を含まない表示のものもあるため、公式の書き方のまま載せている。

山(島) 標高 公式が示す所要 登山口までの足 登る前に確かめること
八丈富士(八丈島) 854m お鉢めぐり 約1時間(火口を一周) 7合目の登山口へ空港から車で15分程度 登山届が必要。山頂付近は土砂崩れ・お鉢巡りの道に崩れ
三原山(伊豆大島) 758m(三原新山) お鉢巡りコース 約2時間45分/三原山&裏砂漠フルコース 約3時間30分(いずれもガイド無しの目安) 三原山山頂口の駐車場が発着。発着地点に路線バスあり 公式に登山届の案内なし
三原山(八丈島) 700m 公式に記載なし 林道が通行止め(関係者のみ) 登山届が必要。山頂〜硫黄沼はガイド付きで可
天上山(神津島) 572m 約5時間(全行程の踏破は6〜7時間) 港から登山口まで徒歩30〜40分 山頂付近の一部区間が通行止め・迂回ルートの利用
宮塚山(利島) 508m 公式に記載なし 公式に記載なし 島に登山ガイドがいない。質問は村役場産業観光課へ

歩いた人の時間の感覚|八丈富士は「登り1時間、縁を50分」

八丈島を旅した記録動画では、八丈富士について「登ること1時間ちょっとで頂上」「山頂の縁の部分を50分くらいかけて歩くことができます」「登って下って一体3時間ちょっと」と話している。舗装された道が続くので歩きやすい一方、傾斜がきつかったという感想も出てくる。観光協会が示すお鉢めぐり約1時間という数字と、登り下りを足した半日仕事という体感は、だいたい重なる。

同じ動画で参考になるのが時点のずれだ。この記録では裏見ヶ滝で滝の裏側を通っているが、観光協会の現在の案内は「滝の手前で折り返しのみ可、滝の裏側を通る一周は不可」になっている。個人の体験記は、撮られた時期の状態を写している。出発前に公式の告知を見る理由がここにある。

登らない形で火山を見る|三宅島の雄山

三宅島の雄山は、自由に登る山ではない。三宅島観光協会が案内する「三宅島雄山火山体験入山775」は、2000年の大噴火でできた陥没カルデラを見るツアーで、村の条例により火口100m手前までの入山ができる。案内するのは東京都自然ガイドに認定された島民ガイド。参加条件は入山当日に満18歳以上、階段600段の上り下りがある指定コースを歩ける健康な方で、三宅村活動火山対策避難施設に現地集合する。料金は12,000円(税込)で、ガイド料・国内旅行傷害保険料・器材レンタル料などが含まれる。申し込みは電子チケットサービスのPeatix経由になる。

まとめ

伊豆諸島で山を歩くなら、標高より先に3つを確認する。八丈島の八丈富士と三原山は登山届が要る。神津島の天上山は山頂付近の一部区間が通行止めで、迂回ルートの案内が出ている。登山口までの足は、車で7合目まで上がれる八丈富士と、港から30分歩く天上山とで前提がまるで違う。どの山も、村や観光協会の告知が更新されるたびに条件が変わる。宿と船を押さえる前に、その島の公式を1回開いておくと組み直しが減る。

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参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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