青ヶ島の二重カルデラ|島の幅2.5kmに直径1.5〜1.7kmの火口。どこから見て、どう歩くか

大凸部から見下ろす青ヶ島の二重カルデラと中央の丸山

青ヶ島の写真でいちばん見かけるのは、緑の稜線に囲まれた鍋のような窪地と、その真ん中に立つ小さな円錐形の山だろう。外側の山(外輪山)の内側に、もうひとつ火口丘がある。これが「二重カルデラ」と呼ばれる地形で、青ヶ島村の公式サイトは「世界的にも珍しい小型二重式カルデラ」と紹介している。

ただし、あの景色は島のどこに立っても見えるわけではない。見える場所は限られていて、そこまでの登り方も、かかる時間も違う。気象庁と青ヶ島村の公式情報で地形そのものを整理したうえで、どこから見て、どう歩くかをまとめた。

島は3.5km×2.5km、その上に直径1.5〜1.7kmの火口

気象庁は青ヶ島を「北北西-南南東3.5km、西南西-東北東2.5kmの火山島」と説明している。面積は5.96平方キロメートル(青ヶ島村)。この島の主成層火山の頂部に直径1.5〜1.7kmの大火口ないし小カルデラ(池の沢火口)があり、その中に中央火口丘の丸山火砕丘が立っている、というのが公式の説明だ。

数字を並べ直すと、島の短いほうの差し渡しが2.5km、その上に載っている火口が1.5〜1.7km。島の幅のおよそ6〜7割を火口が占めていることになる。「島に火口がある」ではなく「火口のふちに島の暮らしが乗っている」と言ったほうが実態に近い。島の北端部にはやや古い黒崎火山が残っていて、島全体がひとつのきれいな円錐というわけでもない。

丸山は、天明の噴火でできた新しい山

真ん中の丸山は、島の歴史のなかでは新しい。気象庁の記録では、1780年7月19日から約1週間の群発地震があり、28日に新しい火口ができて多量の湯が湧き出した。1781年には噴火前日から地震があり、6月2日に火口原から灰、のちに湯を噴出して畑地が被害を受けている。1783年には4月10日の地震のあとに火口原に火口ができ、赤熱した噴石が島中に降って61戸が焼失、死者7名を出した。

そして1785年。気象庁は「当時327人の居住者のうち130~140名が死亡と推定され、残りは八丈島に避難し、以後50余年無人島となる」と記している。丸山はこの一連の噴火で生まれた火砕丘で、同時に流れ出した溶岩が「天明噴火前にあった大池・小池を埋めた」(気象庁)。「池之沢」という地名の由来になった池は、この噴火で埋まったというのが公式の記述だ。いま池之沢に広がるのは、水面ではなく畑と地熱の谷である。

火山としての活動はいまも続いている。気象庁は「池の沢火口内の丸山西側や火口壁直下のほか、島の北端部近くにも高温の噴気地帯」があるとしており、池之沢で食材を蒸す「ひんぎゃ」は、この噴気地帯のことだ。青ヶ島は気象庁の常時観測火山に指定されている。

見る場所① 尾山展望公園(登り口から10〜15分)

二重カルデラの全景をいちばん確実に見られるのが尾山展望公園だ。青ヶ島村の公式サイトによれば標高約400m、視界360度で、小型二重式カルデラを一望できる。集落からおおよそ1km、遊歩道の登り口から約10〜15分程度の軽い山登りで着く、と公式に書かれている。

注意も同じページに書いてある。「標高が高く視界が良い反面、風が強いことが多い」。風を切る一枚は、夏でも持って上がったほうがいい。天気が良ければ八丈島が見えることもある(青ヶ島村)。

見る場所② 大凸部(島の最高地点・423m)

もうひとつが大凸部(おおとんぶ)。標高423mで、青ヶ島でいちばん高い場所だ。青ヶ島村は「ここには三角点が設置されています。集落からも近く、気軽に登れます」と紹介しており、気象庁も青ヶ島の標高を「423m(大凸部)」として扱っている。

「気軽に」の中身は、現地を歩いた記録動画が具体的だ(大凸部を歩いた記録動画・YouTube)。登り口までの道には鳥居と階段があり、途中で放牧の牛に出会う。島には黒毛和牛を飼う共同牧場があり、標高200mほどの一帯で放牧されている(東京都島しょ振興公社)。高みに着いても「まだ先がある」――頂上に見えた場所の奥にもう一段あるという構造で、撮影者は何度か登り直している。山頂では風が正面から当たり、下りでは足を滑らせている。所要時間は公式に出ていないので、余裕をみて歩きたい。

同じ動画では、地図アプリ上はつながって見える道が、現地では通行止めになっている区間も記録されている。撮影時点の状況ではあるが、島の道は災害で閉まることがある前提で考えておいたほうがいい。

カルデラの中に入る 池之沢と丸山遊歩道

展望地から見下ろすカルデラの底、池之沢へは、外輪山を抜ける道で入る。急な斜面を削った切り通しとトンネルが、外側の港・集落と内側の池之沢をつないでいる。

苔むした法面に口を開ける青宝トンネルの坑口
外輪山を抜けるトンネル。坑口の扁額には「青宝トンネル」とあり、車1台分の幅の横に「トンネル内 点灯!!」の標識が立つ

池之沢まで下りたら、丸山を一周する遊歩道がある。青ヶ島村によれば、季節の草花や鳥を見ながらゆっくり歩いて20分ほど。途中、「金太(キンタ)」と呼ばれる低くなった外輪山のすき間から太平洋がのぞく。カルデラの内側にいるのに外海が見える、という二重カルデラならではの場所だ。

展望地と歩く時間の早見表

場所 標高(公式) 公式に出ている距離・所要 見えるもの
尾山展望公園 約400m 集落から約1km/遊歩道の登り口から約10〜15分 二重式カルデラの全景・360度の眺望
大凸部 423m(島の最高地点・三角点あり) 所要の記載なし(「集落からも近く、気軽に登れます」) カルデラ内部と水平線
丸山遊歩道(池之沢) -(カルデラ底の中央火口丘) 一周をゆっくり歩いて20分ほど 丸山の斜面・金太のすき間からの太平洋

数値は青ヶ島村公式サイトの記載にもとづく目安で、道の状況や天候で変わる。最新の通行可否は村や宿に確認してほしい。

外輪山の外側は、海に落ちる崖

二重カルデラの地形は、景色だけの話ではない。外輪山の外側は、ほぼそのまま海に落ちる崖になっている。島の玄関口・三宝港も崖の下にあり、東京都島しょ振興公社は、クレーンで船を陸上に運ぶ珍しい光景が見られる港として紹介している。波が高ければ着けないのは、平らな入り江がないからだ。

海から見た青ヶ島の三宝港と断崖
海から見た三宝港。外輪山の外側は崖のまま海に落ち、斜面は落石防止のネットで覆われている

集落も平地にはない。青ヶ島村は集落がいずれも標高250m以上にあるとしている。港から上がり、外輪山のふちに暮らし、必要があればカルデラの中へ下りる――島の移動はこの上下運動になる。年間平均湿度85%という数字も村の公式サイトに出ていて、雲や霧がかかれば展望地に登っても白一色ということが起こる。晴れた日に展望地を優先するのが、この島の組み立て方だ。

まとめ

青ヶ島の二重カルデラは、島の幅のおよそ6〜7割を占める火口と、その中に240年前の噴火で生まれた丸山という入れ子でできている。全景を見るなら尾山展望公園(登り口から10〜15分)、島の一番高い場所に立つなら大凸部(423m)、内側を歩くなら丸山遊歩道(一周20分ほど)。どれも短い行程だが、風と雲と道の状況に左右される。日程に余裕を持って、晴れた時間を展望に充てたい。

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参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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