八丈島で足止めされたら|欠航した日の過ごし方と、島での動き方

曇り空の下、黒い砂浜と護岸のむこうで白波が砕ける八丈島の海岸

八丈島へは、東京都の公式サイト「アイランドアクセス」の表現を借りれば「東京から飛行機でわずか55分」。船なら夜に竹芝を出て、翌朝に着きます(橘丸の夜行便で約10時間20分)。近いようでいて、行き帰りの手段は空と海のふたつだけです。風や波が強い日は、その日のうちに島を出られなくなることがあります。青ヶ島や御蔵島をめざす旅では、乗り継ぎ地点の八丈島で1日が浮くことも珍しくありません。

この記事は「欠航した日をどう過ごすか」を、八丈町と東海汽船とANAの公式ページに書かれていることだけで組み立てたものです。浮いた1日は、当日の朝に急に決まります。決まってから調べ始めるより、行き先を決める前に読んでおくほうが役に立つはずです。

欠航は、当日の朝に決まる

東海汽船は運航状況を自社サイトで発表しています。電話でも確認できて、高速ジェット船の就欠航専用電話(自動音声案内)は 03-3433-2101、受付は6時から8時まで。お客様センターは 0570-005710 と 03-5472-9999 で、受付は9時30分から18時までです。同社は「最新の状況を確認するために、決定が出発間際になることもございます」と書いています。何メートル以上の風で欠航するかという基準は公表されておらず、「港内状況や海上状況などを総合的に判断して最終決定しております」という説明です。

「★」は欠航ではない

運航状況に「★」が付くことがあります。これは欠航ではなく、出航しても港に着けず、次の島まで行くか、出航地に引き返すことがあるという意味です。東海汽船の説明では、★の便に乗る場合は通常どおり出航時刻までに港へ行き、目的地に着かなかった場合は「欠航」扱いになります。ほかの島で降りずに同じ船で戻ったときは、出港地で全額返金されます。★の段階でキャンセルや変更をしたい場合は、無手数料で受け付けてもらえます。

早まって自分でキャンセルすると、手数料がかかる

ここは金額に直結します。東海汽船は、予約した便が欠航した場合は無手数料で取り消し・変更を受け付けると書いたうえで、「※運航決定前にお取消し・ご変更された場合は所定の手数料が発生します」と注記しています。空模様を見て先に自分でキャンセルしてしまうと、手数料は自分持ちになるということです。往路が欠航した場合は往復とも自動で取り消され、手数料は発生しません。

宿泊費は自分持ち、と船も飛行機も明記している

もうひとつ、金額の話です。東海汽船は「※欠航により現地ご宿泊になった場合の宿泊費はお客様のご負担となります」と書いています。ANAも悪天候による変更・払い戻しのページで「悪天候などが理由の変更に際し、発生した諸費用(交通費・宿泊費)はお客様負担となります」としています。船でも飛行機でも、天候が理由の足止めは宿と食事の費用が自分にかかる、という前提で日程と予算を組んでおくのが安全です。ANAは変更手続きについて、遅延・欠航の決定以降、予約便の出発20分前までに済ませるよう案内しています(同社のウェブサイトでは、出発20分前を過ぎた変更手続きはできないとされています)。

足止めは、実際にどう起きるか

2023年の台風7号のとき、八丈島の航空便とフェリーがそろって欠航し、島を出入りする手段が絶たれた様子が報道されています。取材に応じた旅行者が、帰れなくなるとは思っておらず、次にいつの便が取れるか分からないと不安を語る場面がありました。同じ報道では、物資を運ぶフェリーの欠航が数日続いたことで食料品の不足が心配されている、とも伝えられています。足止めは、宿と便の問題であると同時に、島の側の在庫の問題でもあるということです。買い足したいものがあるなら、早い時間に動くほうが確実です。

浮いた1日は、券を決めるところから始まる

八丈島には路線バスが走っていて、町営温泉が点在しています。バスと温泉には共通券があり、どの券を買うかで、その日の動き方がほぼ決まります。軸になる券は2種類で、性格がまったく違います。比べやすいように、単発の当日券も並べます。

券 料金(大人) 有効 使えるもの
BU・S・PA(バスパ) 1,000円 購入日から2日間 町営バス乗り放題+温泉入り放題
温泉一日周遊券(入湯証) 600円 使用日限り 各町営温泉浴場を1回ずつ(「ふれあいの湯 だんらん」を除く)
温泉の当日券 300円〜500円 その1回 その施設のみ
八丈町公式サイトおよび八丈町営バス公式サイトの記載より(小学生はBU・S・PA 500円、周遊券200円)。料金は変更されることがあります

数字を並べると性格が見えてきます。有料の町営温泉3か所の当日券を単純に足すと1,100円(ふれあいの湯300円・やすらぎの湯300円・みはらしの湯500円)。つまり3か所まわるだけなら600円の周遊券のほうが安く、そこにバスの移動が加わるなら、2日間有効で1,000円のBU・S・PAが噛み合います。足止めは1日で終わるとは限らないので、2日間有効というのは効きます。BU・S・PAは町営バスの受付とバス車内で販売されていて、モバイルチケットもあります。

バスは現金だけ。5,000円札は両替できない

八丈町営バスは交通系ICカード(Suica・PASMO等)が使えません。券や定期券以外は硬貨での支払いになり、両替できるのは50円・100円・500円・1,000円札だけ。5,000円札と10,000円札は両替できないと明記されています。釣銭も出ません。急な足止めで手元が万札しかない、という状況は起こりがちなので、島に着いた日のうちに小銭をつくっておくと詰まりません。

日曜は、空港を通る循環路線が動かない

八丈町営バスには坂上(末吉)方面と坂下(神湊・底土・八高)方面を結ぶ路線バスのほかに、町役場から大賀郷・空港・三根をまわる循環路線があります。運賃表には赤い字で「注意 循環路線は日曜日運休になります」と書かれています。空港へ行く足を循環路線で考えていると、日曜の足止めで前提が崩れます。路線バスのほうは、最低130円から、底土港と末吉のあいだの通し運賃580円までの区間制です。

曇り空の下、柵の内側で牛が伏せている八丈島の牧草地
柵の内側で牛が伏せている牧草地。風にあおられて片側にだけ枝を伸ばした木が立っている

雨でも風でも動ける場所

足止めの日は、たいてい天気が悪い日です。屋根のある場所と、濡れても構わない場所から組み立てます。

町営温泉は、無料のものを含めて6か所

施設 料金(当日券・大人) 営業時間 定休日
樫立向里温泉「ふれあいの湯」 300円 10:00〜22:00(入場21:30まで) 月曜日
中之郷温泉「やすらぎの湯」 300円 10:00〜21:00(入場20:30まで) 木曜日
末吉温泉「みはらしの湯」 500円 10:30〜21:30(入場21:00まで) 火曜日
洞輪沢温泉 無料 9:00〜21:00 月曜日
足湯きらめき 無料 11:00〜17:00 年中無休
裏見ヶ滝温泉 無料 9:00〜21:00 年中無休
八丈町公式サイトの各施設ページより(2026年9月時点の掲載内容)。有料3施設の定休日は、祝日・夏期・年末年始等は営業。支払いは現金のみ

いくつか、行ってから気づくと惜しい点があります。みはらしの湯は、奇数日と偶数日で男女の浴室が入れ替わります。2日続けて足止めされたなら、同じ料金で違う湯船に入れるということでもあります。町営の各施設ではウェットスーツや濡れた衣服(水着を含む)を着たままの入場は遠慮するよう案内されています。タオルはフェイスタオルの販売のみで、レンタルとバスタオルはありません。

券の説明に出てくる「ふれあいの湯 だんらん」は、この6か所とは別枠の施設です。ふれあいの湯に隣接していて、体の不自由な方に利用してもらうためのバリアフリーの浴室。利用には入浴許可証が必要で、事前に八丈町の福祉健康課へ申請します。旅行者がふらりと入る性格の場所ではないため、温泉一日周遊券の対象からも外れています。

いま温泉が出ていない湯がある

裏見ヶ滝温泉は井戸ポンプの故障で、令和8年7月17日から臨時休業しています(尾越温泉スタンドも同様)。そのうえで町は、令和8年8月10日から9月23日までのあいだ、浴槽を「水風呂」として9時から21時まで開放しています。温泉ではなく水道水で、温かくはありません。男女混浴のため水着着用で、せっけんとシャンプーは使えません。この記事の最終確認時点ではこの臨時営業の期間中ですが、期間が終われば扱いが変わるので、出かける前に町のページを見てください。

もうひとつ、「ザ・BOON」は現在休業中です。八丈町営バスのBU・S・PAのページに、使える温泉として名前が挙がったうえで「ザ・BOONは現在休業中です」と注記されています。八丈町の温泉ページ側では、BU・S・PAで使える温泉は「ふれあいの湯」「やすらぎの湯」「みはらしの湯」の3か所として案内されています。

屋内で長くいられるのは、歴史民俗資料館

八丈島歴史民俗資料館は、2025年(令和7年)10月1日にリニューアルオープンしました。1939年(昭和14年)に建てられた東京府の八丈支庁庁舎を活用した建物で、本館は1999年、新館は2021年に国の登録有形文化財になっています。老朽化と耐震性の問題で2018年にいったん閉館し、耐震改修と展示改修を経ての再開です。

開館は9時から16時30分、年中無休。入館料は一般500円、町民100円、中学生以下は無料(10名以上の団体は450円)。支払いは現金のみです。町営バス「歴史民俗資料館」で降りて徒歩1分、八丈島空港から車で約5分、底土港から車で約5分と、足止めの拠点になりやすい位置にあります。無料の駐車場が10台ぶんあります。

漬けにした白身魚をのせた丼と、青のりの浮いた味噌汁
漬けにした白身魚をのせた丼と、青のりの浮いた味噌汁。伊豆諸島では白身魚を醤油だれに漬ける食べ方が根づいている

67km先の島を、湯から見る

八丈島での足止めは、青ヶ島や御蔵島をめざす旅で起こりやすいものです。八丈島から青ヶ島へ渡る船とヘリコプターは、そもそも運航予定日が限られていて、運航は当日の朝7時に決まります。青ヶ島へのアクセスの記事で書いたとおり、八丈島側に1泊ぶんの余地を残しておくのが現実的な組み方です。

その余地が実際に使われた日に、行ける場所があります。中之郷温泉「やすらぎの湯」について、八丈町は「良く晴れた日には、67km先の青ヶ島を望めます」と書いています。泉温45.7度、ナトリウム-塩化物温泉。浴槽から黒潮の海を一望できる造りです。渡れなかった島を湯船から眺める1日というのは、旅程が崩れたときにしか手に入らない時間でもあります。

天気が回復してきたなら、八丈富士のお鉢めぐりという選択肢もあります。ただし風の強い日の稜線は危ないので、無理はしないでください。島全体の見どころは八丈島の旅行ガイドに、島の足の事情は伊豆諸島の島内交通ガイドにまとめています。

まとめ

八丈島で足止めされた日にやることは、そう多くありません。まず朝の運航状況を電話かサイトで確かめ、決まる前に自分でキャンセルしないこと。次に宿泊費は自分持ちだという前提で、その日の予算を決めること。そのうえで、2日間有効のBU・S・PA(1,000円)か、その日限りの温泉一日周遊券(600円)を選ぶ。バスは現金だけなので、小銭を用意しておく。日曜なら空港を通る循環路線は動きません。

雨なら歴史民俗資料館、湯に入るなら3か所の町営温泉。裏見ヶ滝温泉はいま温泉が出ておらず、期間を区切った水風呂として開いています。浮いた1日は、予定どおりの旅では通らなかった場所を通る日でもあります。八丈島の旅行ガイドと合わせて、帰れなかったときの引き出しを一つ持っておくと、旅の組み方そのものが変わります。

参考・出典(公式サイト)

※ 情報は変更される場合があります。おでかけ前に各公式サイトでご確認ください。(最終確認:2026年9月)

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